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朧ゝ夜行 -長夜綴り-
『秋水』
時期:2年前の秋。 視点:--
『ねえ、分かっているの?今回はお遊びはなしだよ。』
「分かっているさ、大事な役目だからね。……でも、少しくらい——」
『“でも”じゃない。目的を果たす為の道中を気にしないのは、あなたの悪癖だよ。』
「はは、痛い所を突かれるなあ。」
ゆらり、ゆらりと揺れる燭台の炎が地面へ透かすのは一人ぶんの影。
『じゃあね。……言っておくけど、失敗はなしだから。』
「うん、心配無用。」
『それならいいけど。』
その言葉を最後に炎は掻き消え、周囲に響いていた声もすっかり消えてしまった。
(全く、くどいし面倒な奴らだなあ。)
元より他者と群れず好き放題に各地を駆け回っていた自分としては、こういった制約のようなものが大層煩わしい。これもより大局を見ての話しだということは理解してはいるのだが。
……夜が更けるまで、ヒトの時間が鎮まるまで、もう少しの辛抱か。
暫くの退屈に胡坐をかけば、昼間の出会いを思い出し溜息を溢した。
「遊びはなしねえ……。折角楽しそうなものを見つけたのになあ……。」
『秋水』-前編 終
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