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​『科戸』

時期:2年前の冬。 視点:--

冷え切った檻のような部屋の中に、力なく横たわった少女がひとり。投げ出された四肢はその年ごろにしてほっそりとしており、末端は赤く霜焼けになっていた。長く伸ばされた藤鼠色の髪はきっと、香油に漬けた木櫛で梳けばさぞ美しいものになるだろうが、今は酷く荒んでいて。

 

「さむい、さむい……。もう、いや……。」

 

この痛々しくも掠れた声は、誰の耳にも入らない。

寒さと空腹から寝付けないでいるのだろうか、夜更けだと言うのにも関わらず、虚ろな瞳は空を見つめていた。

 

(このまま誰にも会えなくて、寒くて、冷たいなら……。)

 

「………もう、ころして。」

 

淀んだ色の瞳から零れた滴が地面へ染みた時————、一陣の風が吹いた。

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​​『科戸』-前編 終

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